──事件から三か月後。

「いやあ、色々ありましたがこうしてこの日を迎えられて本当によかった」

初めてレヴィのお父様に会った料亭で、食事会が開かれていた。

私は着物、レヴィはスーツ。そして、レヴィのご両親と、私の両親。

そう、今日は浅丘家と中岡家の両家顔合わせだ。

無事に事件が解決し、私が無関係だと知るや否や、お父様は私たちの結婚を認めてくれた。

レヴィも浅丘グループを追い出されず、今も同じ仕事を続けている。

「事件解決には莉子さんの活躍があったそうで」

「はあ、そうなんですか。そりゃあなによりです」

会長のお酌を恐縮して受ける父。

いやいや、私活躍してませんから。ただ元カレに電話したら通じなかった、それだけです。

「それにしても、本当にうちの莉子でよろしいんでしょうか。母の私が言うのもなんですが、本当に普通の子なんですよ」

さすがの母も緊張しているようだ。

「ええ、瑛士が莉子さんでなくては嫌だと言うんですもの」

この日初めて会ったレヴィのお母さんは、レヴィと同じ金茶色の髪の美女だった。

ヘイゼルの瞳も、人形みたいな顔立ちも、そっくりだ。とても五十代には見えない。