とうとう我慢できず、立ち上がってしまった私。神藤さんが非難を込めた目で見てくる。

「むしろ、脅されました。誰かにしゃべったら、私のことを会社にバラすって。それが嫌なら、黙っていろって……」

顔を覆って泣く真由さんにみんなが同情の目を向ける。

「ひどいわ。悪いのはすべてその男じゃない」

アラサー百田さんも憤慨する。

「遠藤さんも被害者じゃないか。付き合う詐欺だろ、それ!」

男性秘書が机をダンと叩いた。

なんと後味の悪い結末だろう。

まさか真由さんが情報漏えいの犯人だったなんて。

こんなに泣いて、可哀想に。博之め、ギッタギタのメッタメタにしてやらなきゃ気が済まない。そう思っていると。

「みんな、いいかな」

レヴィがハッキリした声で言った。みんなが彼に注目する。

「思い切り同情しているけど、遠藤さんのしたことは悪いことだから。それだけはハッキリさせておく」

同情による怒りが鎮火していく。それが、目に見えるようだった。