博之と真由さんは、同じ大学に通っていた。留学中に知り合った彼らは故郷を離れている心細さから意気投合し、親しくなった。
でも、恋人関係ではなかった。
卒業後、真由さんは博之と別の会社、つまり今の会社に就職。
ずっと友人関係を続けていた彼に、真由さんは自分の会社の情報を提供した。
「大学のご友人が証言してくれました。社会人になったあなたたちが二人でいるのを見たことがある、とね」
神藤さんのメガネの奥の目が光る。
「それだけで、私が犯人だと決めつけるんですか?」
「いいえ。決め手になったのは、防犯カメラの映像です。私たちは多部氏の事件前の足取りを徹底的に追いました。そこで、あるホテルのラウンジであなたがUSBメモリーを多部氏に渡すところがはっきりと映っていました」
そのホテルの名前を詳しく言われると、真由さんはまた口をつぐんだ。
「多部氏を追及したら、あちらはあっさり白状してくれましたよ。あとは、あなただけです」
追及って、どうやって?
そんなにあっさり自分の罪を自白しちゃっうとは。もしかしてレヴィ、浅丘グループの力をフル活用した?
屈強な男たちに囲まれる博之が、頭の中に浮かんだ。



