最初はレヴィの肩書だけが好きだった。正直、残念な王子様だと思っていた。
だけど、今は肩書なんてなんでもいい。レヴィじゃなきゃ、ダメなの。
私は泣きながら、お弁当を食べて、レヴィと一緒にお風呂に入り、同じベッドに寝転んだ。
レヴィは口で言うほど、軽やかな気分ではないだろう。それはわかっているけど、口にはしないことにした。
二人でいれば、きっと乗り越えられる。
そう信じて、彼の腕の中で瞼を閉じた。
──事件発覚から二日後。
休職を命じられていた私のスマホが鳴った。
私を見る周囲の視線があからさまに冷たいことをレヴィが気にして、休みにしてくれている。
無理やり行ったところで、秘書室の空気が悪くなり、作業効率が下がるのは目に見えているので、おとなしく自宅にいることにしていた。
「もしもし」
画面に表示されたのはレヴィの番号ではなく、神藤さんの番号だった。
そのため、少し緊張しつつ電話に出ると、向こうからいつもの神経質そうな声が聞こえてきた。
『莉子さん。お話がありますので、至急秘書室へお越しください』
あんな事件があった後だ。それに関係することで話があるのだろう。



