ふんがふんがと憤慨する私をよそに、レヴィは冷静な顔。
「海外にいたと言うからまさかと思ったけど、調べておいた方が良さそうだ」
彼は自分のスマホを取り出し、どこかへ電話をかける。
「神藤か。至急身辺調査をしてほしい人間がいる。そう、莉子の元彼だ」
電話の相手は神藤さんか。静かにしていると、レヴィが眉をひそめた。
「いや違う、莉子が怪しいとかそういう話ではなくて。彼が莉子ではない他の社員と接触していた可能性を言っているんだ。……僕の言うこと、聞いてるか?」
どうせまだ、私が犯人だとわめいているに違いない。うんざりした顔のレヴィはゆっくりと何度も神藤さんを説得し、四十分後にやっと電話を切った。
「はあ。あいつの心配性にも困ったものだ」
心配性って言うのか、あれ。単に私のことが嫌いなだけじゃ。
「食べよう、莉子。何があっても、明日はくる」
「事件、解決するかしら」
「さあね」
レヴィは箸で唐揚げをつまみ、ふと私の方を見た。
「……もしかして、浅丘グループを追い出されたら僕のことは用ナシだ、なんて思ってる?」



