レヴィにそう言われ、神藤さんは悔しそうに口を歪める。メガネの奥の目はまだ私をにらんでいた。
よりにもよって、前いた会社とトラブルになるなんて。これじゃ、神藤さんでなくても私のことを疑いたくなる気持ちはわかる。
でも私は何もしていない。博之に会社の話なんて一言もしなかった。
「どうしたものかな……」
ふーっと深いため息をつくレヴィ。今まで会社を順調に牽引してきたさすがのCEOも頭を抱える事態。
私ごときがどうすればいいかわからず、黙っていた。すると、レヴィのデスクの上の電話が鳴った。
「はい、秘書室長の神藤です」
すかさず、レヴィの代わりに神藤さんが電話に出る。
「ええ、ええ……わかってます。対策が決まり次第、連絡します」
電話を切れば、また電話がかかってくる。同じようなやりとりを5,6回繰り返して、やっと静かになった。
「関係各所から問い合わせが。特に開発部は黙っていられないようですね」
自分たちが苦労して開発したものをあっさり奪われてしまったんだ。当然だろう。
「どこから情報が漏えいしたか、徹底的に調べろ」
「はい」



