「レヴィ様が料理を覚えたいと言いだしたので……何が作りたいかと尋ねたら……」

神藤さんがはあとため息をつく。彼の手元のお皿には、餃子?が並んでいた。脱皮しかけた虫みたいに餡がはみ出ていて、正直汚い。

でもそれもお皿の端の五個くらいで、手前に近づくに連れてだんだんと上手になってきている。

はみ出す量が少なくなってきているという程度だけど。ひだを付ける段階でもないようだけど。

最初からちょっとハードルの高い料理に挑戦してしまったのね……。

「す、すごいわレヴィ。最初から餃子だなんて。でもどうしていきなり料理をしようと思ったの?」

さっきから質問ばかりしてしまっている。だって、予想もしなかった光景が繰り広げられているんだもの。

「莉子にだけ家事をさせちゃいけないと思って。僕ができるときは僕がやらなきゃね」

「えっ」

「洗濯も掃除もできるようになって、もっと莉子を楽にしてあげるからね。すぐに完璧にはできないけど、気長に見守って」

にっこりと笑うレヴィの顔には、下心も策略も感じられない。

じわっと涙がにじんだ。レヴィ、本気で言ってくれているんだ。連日の義兄攻撃で私がしんどそうにしていたから……。