俺は握り拳に力を込めた。こうなってしまっ

たからには仕方がない。どんな逆境にだっ

て立ち向かってやるよ。

「よし、それでこそ俺の息子だ。応援して

るからな!」

「う、うん・・・」

親父は勢い良く立ち上がると腰に手を当て

高らかに笑い出す。付き合いきれないので

こっそり部屋に戻った。


~始業式の日~


「・・・う~ん・・・」

冬休みが明け、今日は始業式当日。俺は

久々にいろんな友達に会ったがそれどころ

じゃなかった。

「どうした、瑞希。何か変だぞ。いや、い

つもの事か」

始業式が終わり、教室で休憩していると田

町が話し掛けてきた。今日に限って一言多

いぞ。

「世の中、甘くねえんだよな~って

・・・」

「本格的におかしくなってきたな」

田町は俺の隣でケラケラと笑っている。俺

にとっては笑い事じゃないのだが。とはいえ

本当の事を話せるわけがない。