編集長はやっぱりプロ意識が高いらしい。

俺は心の中で「めんどくせえ」と毒づい

た。


翌日、朝から仕事でテレビ局に行くとロ

ビーでまた輝に遭遇した。既にいつもの輝

に戻っている気がする。

「あ、舞花。お前昨日テレビ観たか?」

「うん、観たよ。助かって良かったね」

「まあな」

俺は昨日、雑誌取材が終わって家に帰ると

テレビをつけてニュースを観た。輝が話し

ていた事故の件が早速ニュースになってい

た。奇跡的に全員重傷で済んだそうだ。

「それより・・・聞いたか?」

「え、何を?」

輝は神妙な顔つきのまま俺に近づいてく

る。何を言っているのか分からず首を傾げ

た。

「昨日、俺達ベンチで話してただろ」

「うん。それがどうかした?」

俺は妙にもったいぶった話し方をする輝に

段々とイライラしてくる。早く控え室に行

きたいのに・・・と思いつつも途中で話を

遮ると面倒な事になりそうなので諦めた。

「撮られたんだよ、俺達」

「・・・え?」