「輝・・・どうかした?」

輝の背中をさすりながら再び声を掛けてみ

る。顔を上げた輝は珍しくどこか悲しそう

だった。


「撮影隊の車が・・・こっちに向かってる最

中に事故を起こしたらしい」


思いがけないその一言に耳を疑った。驚き

のあまり何も言えないでいると輝は更に続

けた。

「車が歩道に乗り上げたらしい。たまたま

歩行者はいなかったから良かったけ

ど・・・横転したせいで、撮影スタッフは

みんな病院送りだって」

「え!?そんな事って・・・」

「あったんだよ、ほんとにな」

輝は余程ショックなのか肩を落として呆然

としている。突然の出来事を受け入れられ

ないのだろうか。

「撮影は?」

「当然ダメだ。撮影のめどは立ってないらし

い」

時折門の外から瞬間的な光が瞬く。何か違

和感を感じつつも輝を慰め続けた。