スタジオ前にはほどほどに広い中庭があ

る。おそらく輝はここで写真集の撮影をす

るのだろう。

「輝。まだ来てない?」

輝のマネージャーさんがスタジオから出てく

る。俺に一礼すると輝の元に駆け寄った。

「まだ来ないですよ。ったく、こっちは1時

間も待ってるってのに」

「分かった。とりあえず連絡してみるよ」

マネージャーさんは胸ポケットから携帯電

話を取り出すとどこかに電話を掛けてい

る。

「・・・輝、ちょっと」

電話を切るなりマネージャーさんは輝を少

し離れた所にあるベンチに誘導する。俺は

その様子をどこか冷めた目で見つめてい

た。

「はぁ!?そんなのアリかよ!」

輝は何を聞かされたのか知らないが、怒っ

ている様な驚いている様な、複雑な表情を

している。マネージャーさんはベンチから立

つと門の外に出ていった。

「・・・輝?」

俺はうなだれている輝が心配になり隣に座

った。声を掛けても反応がない。