「なーにそんなとこで座り込んでんだよ、

アホ」

俺が一人落ち込んでいると誰かの声が上か

ら聞こえてくる。見上げると滝口輝が俺を偉

そうな顔で見下ろしていた。

「なっ・・・!?輝!?何でここに!」

「何でって、仕事で来たに決まってんだろ」

そうだ。そういえば輝も芸能人なんだっ

た。それにしても何でこうも遭遇率が高い

んだろう。

「ていうか・・・何の仕事で来たの?」

「写真集の撮影だよ。俺もすっかり人気者

だからな」

「自分で言わないでよ」

輝は今をときめく超人気俳優だ。いずれは

写真集を出すだろうと思っていたがまさかデ

ビューしてからたったの1年でとは予想外

だ。

「それにしてもおっせーなあ」

「ん?誰か待ってるの?」

「ああ。撮影スタッフを待ってるんだけど

さ、なかなか来ねえんだよ」

「マネージャーさんは?」

「トイレ行ってる」

輝はイライラした様子で腕を組みながらウ

ロウロしている。