「すみません、あの・・・ちょっとだけ外

の空気吸ってきてもいいですか?」

「いいよ。あんまりムリしないでね」

俺は耐えきれずに立ち上がるとスタジオの

外に出た。


「はぁ・・・」


最悪だ。不覚にも男相手にときめいてしま

うなんて・・・

俺は玄関口でうずくまった。あんなに近く

で人の顔を見たのなんて初めてかもしれな

い。


「あ~・・・こんなの嘘だ嘘。男にときめ

くわけないだろ~・・・」


風見とおじさんがゲイだと最近知ったばか

りで、正直なところその時は「自分は絶対

にないな」と思っていた。それなのにまさ

か三枝さんにときめくとは。


ていうか・・・もしかして俺までゲイにな

っちゃったのかな。


いやいや、俺がドキドキしたのはただの整

理現象だ。

俺は何とか自分に言い聞かせる。でないと

今すぐにでも気が狂いそうだった。