「もういいだろ。あんまり俺に構うなよ」

俺は会話を切り上げて上靴にはき替える。

階段を駆け上がると風見が慌ててついて来

た。

「まあまあ、怒んないでよ。スタジオに入

れさせてくれ~、なんて言わないから」

「ほんとかよ?」

「うん、イエスイエス」

何だか風見がふざけている様に見えるもの

の、こいつのしつこさから解放されるなら

別にふざけていても良い。もうさすがにつき

まとってくる事もないだろうし。

「おはよう」

3階にある自分のクラスに足を踏み入れる。

俺達のクラスは5組。風見以外は至って普通

のクラスだ。

「おう、金沢。今日は来たんだな」

先に来ていた早瀬(はやせ)が俺に話し掛

けてくる。俺は早瀬の隣に座る事にした。

「まあ、いろいろあってさ」

「そっか。何があったか知らないけど元気

そうじゃん」

風見は空気を読んだのか俺達から離れた席

に座っている。早瀬と話しているうちに1時

間目のチャイムが鳴った。それと同時に担

任が戸を開けて入ってくる。