「親父は、今日俺が雑誌取材受けなかった

事に怒ってんだろ。ドタキャンしたから。自

分のメンツがつぶれるから」

それでも親父は何も言わない。ただ俺の言

う事を静かに聞いている。

「そりゃそうだよな。自分が舞花の事を世

に送り出したんだから。自分が舞花をプロ

デュースしたんだからな!」

俺は全ての不満を次々に口にしていく。そ

こでようやく親父が口を開いた。

「瑞希・・・別に俺はそんな事に怒ってる

わけじゃない。嘘をついてみんなに迷惑を

掛けた事に怒ってるんだ」

親父は俺をなだめる様にゆっくりと言葉を

選びながら落ち着かせようとする。しかし

そんな親父の態度は俺の神経を逆撫でする

だけで全くの無意味だった。

「親父は昔から仕事人間だよな。俺とろく

に遊んでくれた事がない。それだから奥さ

んが離れてったんじゃねえのかよ」

この言葉が親父の逆鱗に触れたらしく頬に

一発ビンタを食らわされる。俺はボロボロ

と涙をこぼしながら親父を睨みつけた。

「そんな事冗談でも言うな!」

親父にとって奥さんと離婚した事は誰にも

触れられたくない過去らしい。それでも今

の俺には関係ない。

「親父が!俺を養子にしたのも!どうせ同

情なんだろ。分かってんだよそんな事」