「お前・・・体調不良なんて嘘だろ」

親父は俺の嘘を一発で見抜く。洞察力や観

察力に優れているから、昔から嘘を見抜く

のがムダにうまい。

「だったら何?何か文句あるの?」

「・・・どうした、瑞希?今日は何かおか

しいぞ」

おかしい?俺が?むしろおかしいのは親父

の方だろ。二言目には「仕事、仕事」

って・・・もっと俺に構ってくれたって良い

じゃないかよ。

「うるせえよ、そもそも親父が全部悪いん

だろ」

俺は初めて親父に本気で反抗した。親父は

驚いたのか目を丸くしている。それでも構

わず続けた。

「何だよ、いっつも仕事仕事って。仕事ば

っかり理由にして」

俺は正直な気持ちを親父にぶつける。さす

がに怒られるかと思ったが親父は一切怒ら

なかった。

「瑞希、ちょっと落ち着け」

「落ち着いてられるかよ。親父はどうせ俺

の事を便利な商売道具としてしか見てない

んだろ。どうなんだよ」

親父は俺の言葉に一瞬目を見開いた。怒

っているのか何も答えない。俺は更にまく

し立てた。