・・・ああ、そうだ。

親父が俺を養子にしたのだって、どうせただ

の同情だ。そんなドス黒い気持ちが俺の中

でどんどん沸き出してくる。

追い掛けても追い掛けても、どんなに親父の

背中を追い掛けてもその背中には追いつけ

ない。ずっと押し殺してきた気持ちが解き

放たれる様に溢れ出した。


翌日、俺は補習授業を無断で欠席した。昼

から入っていた初めての雑誌取材も「体調

不良」という理由ですっぽかし。今日の俺

は完全にグレている。今まで大した反抗を

してこなかったのだから、それでいい。周

りの顔色を窺ってまでいい子でいるなんて実

にバカバカしい事だ。

「おい、瑞希」

親父は帰って来るなりリビングに俺を呼び

つける。俺は親父と向き合う様にソファに

腰を下ろした。

「何だよ、親父」

「体調不良って言って雑誌の取材を受けなか

ったそうじゃないか」

「そうだよ、それがどうかした?」

俺はこんな暗い雰囲気に呑まれるのが嫌で

堪らなかった。せっかく帰って来てもこんな

話をされるなら部屋に引きこもりたい。そ

う思う。