親父は体調不良だったせいか昨日の事をま

るで何も覚えていない様だ。

俺は散々な目に遭ったというのに、のんき

だな・・・


昨日俺は部屋に入ってからヤケクソで暴れ

たりお経を唱えたりを深夜遅くまで続けて

いた。

大体、風見と親父のせいだっつーの。

風見は俺がいない間にうちへ上がり込んで

昼食をちゃっかり食って帰るわ親父は体調

不良だからって態度悪いわ・・・どいつも

こいつも!

俺はそんないらだちを押し殺すと努めて普

通に振る舞った。

「親父、もう仕事?」

「ああ、今日は大事な打ち合わせがあるか

らな」

今は10時を過ぎた辺り。しかし早い時だと

夜中にうちを出る事がある。俺が養子とし

て迎えられた頃からこの人は仕事人間だ

った。

「冬休みなんだし、たまにはどっか連れてっ

てよ」

「悪いけどムリだ。仕事が立て込んでるか

ら」

出たよ。親父は何かと言うとすぐ「仕事」

を言い訳にする。この言葉はもうとっくの

昔に聞き飽きていた。