俺が心配して声を掛けたのに親父は素っ気

ない。ついついムッとしてしまったがまだ

風邪を引いている様なので仕方ないと諦め

た。

「じゃ、俺は先に寝るから」

「うん、おやすみ」

親父は「おやすみ」も言わず背を向けると

階段を熊みたいな動きで昇っていく。しば

らくしてからドアが閉まる音がした。

「ったく、いくら何でもあんな態度ってな

いよな」

俺は口を尖らせブツブツと一人グチをこぼ

す。むなしくなったので自分の部屋で休む事

にした。


~翌朝~


「あ、やっと起きたか。おはよう」

「ん・・・おはよう」

俺がリビングに行った時には既に親父がソ

ファに座っていた。親父はすっかり元気にな

っている。しかし俺は眠気で視界が朦朧と

していた。

「どうした。やけに眠そうだな」

「ああ・・・昨日いろいろあって」

「そうか」