「風見、さっさと帰れよ」

昼間は仕方なく一緒に昼食を食べた俺だ

が、時計を見ると時間は既に夕方の5時。

いい加減帰ってもらわないと親父にも迷惑が

掛かってしまう。

「はぁ、仕方ない。今日は諦めて引き上げ

る事にするよ」

「『今日は』じゃねえ。もう2度と来んな」

「分かったよ。しゃーないからまた明後

日、学校でね」

「勝手に言ってろ」

半ば強引に風見を家から追い出す。また入

って来ない様に風見が出た途端チェーンを掛

けてドアを締めた。

「瑞希」

「あ、親父」

親父が2階から降りてくる。熱は治った様で

顔色が良くなっていた。

「大丈夫かよ親父。何にも食べてないだろ」

「大丈夫だ。何も食べる気力がない」

親父は珍しく不機嫌そうだ。ウォーターサ

ーバーの水をコップに注ぐと一気に飲み干

している。体温が高かったのだから相当に

喉が渇いていたのだろう。

「親父、ほんとに何も食べなくて大丈

夫?」

「大丈夫だって」