授業開始のチャイムが鳴り、教室に担任の

先生が入ってくる。俺の斜め後ろの席には風

見が座っていた。

はぁ・・・ほんと、何でこんなヤツに秘密

を知られなきゃならないんだ。不運にもほ

どがあるだろ。


おととい、車内で一悶着あってからおじさ

んは俺を家に送ってくれた。家に着く頃に

はウィッグは外していたから誰に見られる

事もなく中に入れた。でなきゃ、もし近所

の人にでも舞花の姿を見られたら大変な事

になる。人気者もなかなか大変なのだ。

『あの後どうなったの?』

俺はメモ帳から紙を1枚千切るとそれだけ書

いて前を向いたまま風見に手渡す。チラッと

風見の方を見ると俺が書いたメッセージの

下に何やら書いている。俺の意図が伝われ

ばいいのだが。

「金沢くん、ホラ」

風見は俺の背中をつつくと紙を手渡してく

る。受け取って見ると長々とした返事が書

いてあった。

『君を家に送った後、僕も何事もなく家に

送ってもらった。君が何を想像してたのか知

らないけど、心配する様な事は何もしてな

いから安心して』