「ごめん・・・」

風見の記憶が一気に蘇ってくる。いつも教室

の片隅で見えない誰かと話している異様な

人間だった。

いや・・・

「やっぱりヤバいヤツじゃねえか!」

思わず心の声が激しく漏れる。そこでハッ

と我に返るとすかさず口を手で押さえた。

「ていうか、もしかしてだけどさ・・・知

ってるの?俺の事」

「知ってるよ。金沢瑞希くんでしょ?」

「っ・・・」

こいつに舞花の正体を言い当てられてしま

い、口が開いたままフリーズする。余程ア

ホ面を晒していたのか「元に戻って」と静

かに言われた。

「あ・・・あの、何でその事を?」

はっきり言ってこの事実は芸能界を揺るが

すほどのマル秘情報だ。こんな事がもし世

間に知られたら俺は即芸能界から追放、そ

の日の内にネットニュースに記事が載り、俺

は翌日からいろんな人に白い目で見られる

事になる。