俺は普段からそのまま控え室を出てテレビ

局を出る。じゃないと入り口で警備員に止

められてしまう。行きも帰りもそうしないと

見ず知らずの男子がテレビ局に出入り出来

るわけがなかった。

「よしっ、もう出よ」

俺は髪の毛先をなびかせながら控え室を後

にする。入り口には強面のガタイが良い警

備員が立っていた。

「舞花ちゃん、お疲れ様」

「お疲れ様です」

入館証を見せると強面の顔が優しい笑顔に

切り替わる。

俺のアイドル人生、どうなっちゃうんだろ。

ふとそんな思いが脳裏をよぎった。