あれから毎日のようにルネ王子が薬室を訪ねてくる。みんな最初は凄く緊張していたのに、今ではすっかり慣れてしまい普通にお話しできる仲にまでなった。私もそのうちの一人だ。


ロアナはリュカさんと顔を合わせる機会が増えて凄く嬉しそうだ。


リュカさんは伯爵家出身らしく、同じ貴族同士、このまま順調にいけば婚約の流れになりそうだ。



「このお花綺麗だね」

「そのお花の花びらは解毒薬として使っています。 だから観賞用として飾ってるのは少し珍しいかもしれません」

「そうなんだ。 僕も部屋に飾りたいな」

「それでは明日お届けしますね」

「本当!? ありがとう!」



腰にギューっと抱きつかれて思わず抱きしめ返してしまいそうになる。そうしないでいられるのは、ゴルチエさんの鋭い視線があるからだ。


ルネ王子がここまで人懐っこい性格をしていたなんて……驚きだ。ほんの少しでいいからジーン王子に分けてあげてほしい。



「ジーン兄様の部屋にも届けてもらえないかな?」

「ジーン王子に、ですか?」



ジーン王子とお花……似合わない。



「…僕の好きなものを届けたいんだ」



少しの間を置いて、ルネ王子は笑顔でそう言った。この可愛らしい上目遣いと笑顔に免じて届けましょう!



「分かりました。 ではジーン王子にも届けますね」