「飲んでみたら?」



ラウルさんに促され、人生初のお酒を一口飲んだ。


何これ!なんか不思議!



「フルーツの味がする」

「美味しいでしょ!?」

「うん、美味しい」



またお酒に口をつけようとしたら、ラウルさんに止められた。



「美味しくても一気に飲むと気分が悪くなったりするから、ゆっくり飲まないとダメだよ」



へ!?そうなの!?知らなかった……。



「分かりました。 気をつけます」

「あはは、素直だね。 何かあれば私かロアナがいるから、気分が悪くなったりしたら言うんだよ?」

「はい。 ありがとうございます」



ラウルさんは私の頭を撫でると、挨拶回りに行ってしまった。まるで子供をあやすかの様な撫でかただったな。



「面倒見がいいお兄さんって感じだね」

「好きな相手にはね。 ああ見えて好き嫌い激しいんだよ?」

「そうなの!? 私大丈夫だった!?」

「あははっ! ビーチェの事は気に入ってくれたみたい」



それならいいけど……やっぱり大好きな友達のご家族には嫌われたくない。



「ほら! あれ! グレース王女だよ!」



グレース王女って確かジーン王子の婚約者だよね?