「悪い、こと、したの?」

「ビーチェ……」



ギュッと抱きしめられた。私もヘンリーにしがみついた。大好きな匂い。



「この世界でただ一人の存在なんだよ。 もしその力が他の者にバレたら、一緒に居られなくなるかもしれない」

「ヤダっ! 一緒がいい__っ、ちゃんと良い子にする! だからそんな事言わないで!!」



泣きじゃくる私をしっかり抱きしめてくれる。時々怖い顔をするけどいつも優しいヘンリー。



「俺もビーチェとずっと一緒に居たい。 だから外では使わないと約束してくれるね?」

「__っ」



頭を振って頷くと、頭にキスをされた。



「そろそろお友達に俺の事を紹介してくれる?」



顔を上げるとヘンリーはいつもの優しい顔に戻っていた。頬っぺたにべったり付いた涙を親指で拭いてくれる。


ヘンリーの手を取った。テーブルの上で大人しくしているレミーのところまで引っ張って行った。



「レミー紹介するね! 私の大好きなお兄ちゃんのヘンリーだよ!」

「初めまして、レミー。今日から宜しくね」



ヘンリーが手を差し出すと、レミーはピョンっと飛び乗った。レミーもヘンリーの事を好きになってくれたみたい。