その晩、漸く国王陛下の容態が落ち着いた。部屋に帰り着いた時には思った以上に疲れていたらしく、ベッドに寝転がると起きられなかった。


シャワー浴びないと……顔もお化粧してるし……。


_コンコンコン。


え?誰?



「…………」



返事をするのも面倒くさい。ベッドに寝転がったまま、口も目も開かなかった。


_ガチャ。


え!?


まさかドアを開けられると思ってなくて、目を開けた。



「……ジーン、王子?」



慌てて体を起こした。あの日の出来事を思い出したら、ベッドに横になっていられなかった。


ジーン王子はベッドに腰掛けた。ジーッと見られ体が強張る。



「すまなかった」

「……へ?」



突然の謝罪に間抜けな声が出た。今謝ったよね?あのジーン王子が……。



「薬室長から話は聞いた。 お前が国王の薬を作っていると」

「…………」

「何故言わなかった。 その事を言っていればあれ程怯える必要もなかっただろう」

「……国王陛下が何もお話しされていないのなら、私がお話しするわけにはいかないもの」



どんなに偉い方だろうと、私にとっては患者さん。肩書きは関係ない。患者との間には守秘義務が発生する。私の口から漏らすわけにはいかない。