側に駆け寄り枕をずらした。少し体を起こした国王陛下の口元に、持ってきた薬を運んだ。



「いつも処方している薬より強いものです」



薬を持つ私の手に国王陛下の手が触れた。震える手は汗ばんでいる。


薬を口の中に入れ、吸飲みで少しずつ胃の中へ流し込んだ。国王陛下の喉元が動く度命の重みが伝わってくる。オルセンさんが用意してくれたお茶も少し飲んでもらった。


横になった国王陛下の手をギュッと握った。



「大丈夫です。 きっと健やかな目覚めが待ってますから、ゆっくりお休みになって下さい。 お休みになられるまでここにおります」



国王陛下は目を細めるとそのまま静かに瞼を閉じた。眉間にシワが寄っていたけど、暫くすると微かに寝息が聞こえ始めた。


穏やかな顔で眠りにつく国王陛下を見ていたら涙が出てきた。張り詰めていた気がどんどん緩んでいく。同時に涙も止まらない。


肩に触れられ顔を上げると、側に薬室長が立っていた。



「我々も一息つくとしよう」

「……はい」



国王陛下を起こしてしまわない様に部屋を後にした。