ヘンリーは私と同じ高さになった。大きなため息を吐かれて泣きそうになった。こういう顔をした時は決まってお説教される。



「力を使ったのか?」

「……うん」

「外で?」

「……うん」



ヘンリーの顔がどんどん見えなくなっていく。拭いても拭いても目から沢山涙が出てくる。ゴシゴシしてたら手を握られた。



「ビーチェ、君の力は特別だと教わったね?」

「っ、うん」

「ビーチェと同じように力を使える者がいる」

「わたしといっしょ?」

「一緒だけど一緒じゃない」

「わか、分かんないよっ」



私と同じように力を持ってる人がいる。嬉しい。なのに一緒じゃないのはなんで?分かんない。



「私たちは特別な力の事を魔力と呼んでいる」

「ま、りょく?」

「そう、魔力。 炎を操れる者、水を操れる者、風を操れる者、色々いる。 けど、癒しの力を持つ者は居ない。 ただ一人を除いて」

「いやし?」



ヘンリーの大きな手が頬っぺたに触れた。私の顔なんて隠れちゃうんじゃないかって思うくらい大きな手。



「ビーチェ、君だけが傷付いた命を助けられるんだ。 唯一無二の存在なんだよ。 特別なんだよ」