最低1年に一度は1週間程の休みを取っていい事になっている。ロアナは今休みを取って家族で旅行に行っている。休みの前日、「お土産買ってくるね!」と満面の笑みでお家に帰っていった。



「ここ以外私には帰る場所がないので、休みを取る理由がないですし……なにより仕事が好きなので、休みを取らなくてもいいんです」



国王陛下と話しをしていて分かったことがある。国王陛下は私の事を本当に何も知らないということ。ジーン王子は何も話していない様だ。



「込み入った事を聞いても?」

「はい」

「ご両親はもう居ないと言っていたが、我が国との戦争で亡くなられたのかい?」



真剣な顔で聞かれた。


昼間お見かけする国王陛下は優しさはあるが威厳があり、近寄り難い雰囲気を醸し出している。だけどここで話しをしているときはとても温かい。だからたまに錯覚してしまいそうになる。父の様だと……。



「戦争は関係ありません。 母は物心ついた頃にはいませんでした。 なので父の話してくれた母しか知らないんです。 顔も写真でしか見た事はありません。 父は私が8歳の時に他界しました」

「ご兄弟は?」

「血の繋がりはありませんが、兄と姉がいます。 それと、父の様に思ってる人も……」



ヘンリー、マデリン、神父様、そしてロッシ先生……みんな元気に過ごしてるかな?病気になってないかな?怪我してないかな?離れていても心配は尽きる事はなかった。