「今後もベアトリーチェに薬の調合をお願いしたい」

「私にですか!?」

「あぁ、そうだ。 だから万が一のことがあれば対処してほしい。 その為に、こうして直接話しをしておきたかった」



膝の上で握った拳。手のひらが少し汗ばんでる。緊張してる。


私にそんな大役が務まるのかという不安、そして認めてもらえた喜び。色んな感情が入り混じっている。



「……謹んでお受けいたします」

「そうか、ありがとう」



国王陛下は口元をほんの少し緩めると、お茶を一口飲んだ。私も変に喉が渇いてしまった。はしたないと分かりつつも、お茶をグビグビと飲んでしまった。するとすかさずオルセンさんがカップにお茶を注いでくれた。



「今は心臓の具合は大丈夫ですか?」

「あぁ、お陰様で落ち着いている。 どうやら疲労が溜まった時に発作が起きてしまう様だ。 今までの薬でも発作は治まっていだが、ベアトリーチェが調合してくれた薬は今までのものよりも治るのが早い。 そして不思議と疲れが取れる感じがする」



私の作った薬はちゃんと役に立っているのだと思ったらホッとした。



「薬師の新人である君と私が話していては余計な噂がたつだろう。 だから、こうして夜たまにお茶に付き合ってくれるか? その時に薬をもらう事にしよう」

「分かりました。 いつでもお渡しできる様に用意しておきます」

「あぁ、宜しく頼む」



気付けば夜も更けていて、私は国王陛下の部屋を後にした。帰りもオルセンさんが部屋まで送ってくれた。