マクブレインはとても怖い国かと思ってた。よくどこどこの国と戦争をしていると耳にしていたから。


この国はとても大きく、緑豊かだ。水源にも恵まれている。貿易も盛んで、新しいものも次々と入ってくる。この国で手に入らないものはないんじゃないかと思うくらい。


ロアナ曰く、この恵まれた環境の所為で戦争が多いそうだ。誰もがこの恵まれた国を欲し、侵略しようと試みる。そしてマクブレイン国はそれを許さない。だから軍事にも力を入れている。


マクブレイン国は基本は自ら侵略することはないらしいが、バルドック国との一件は違う。戦争を仕掛けてきたのはマクブレイン国だった。一体何が目的だったのか__それは明らかになっていない。ジーン王子に聞いたところで教えてくれないだろう。そもそもこの国に来てから一度も言葉を交わしてない。



「ロアナ、ベアトリーチェ、この薬を獣医室まで届けて来てくれ」



薬室長から薬を受け取って2人で薬室を出た。


寡黙な薬室長はあまり表情が変わらない。余計なお喋りもしない。私生活ではどうかわからないけど、私の知ってる薬室長はとても仕事に前向きで真面目な人。