あれから数年の歳月が流れた。



「今日はご機嫌ですね〜」



ベアトリーチェは愛くるしい笑顔ではしゃいでいるレーヴに、ニコニコ笑いながら話しかけている。


太陽が燦々と照る中、愛しい我が子を抱っこして散歩をするベアトリーチェ。誰かとすれ違うたびに声をかけられる。レーヴは今やマクブレイン城の人気者だ。


庭園の椅子に腰掛け、空を見上げた。前面に風を受け、癒されていると、キャッキャ笑う息子の声が聞こえてくる。


レーヴの側には3人の妖精が賑やかに舞っている。レミーも負けじとはしゃいでいる。妖精や精霊がレーヴの遊び相手になってくれる為、ベアトリーチェはとても助かっていた。


あの争いの後、何故だか分からないが妖精や精霊の姿を見られるようになった。もちろん姿を現してくれないと見ることはできないが、皆人間界に姿を表すことに前ほどの抵抗がなくなったようだ。だが、精霊に限っては契約している術師の力が強くないと、姿を現わすことは出来ないようだ。



「探した」

「お仕事はいいの?」

「少し抜けてきた」



そう言ってベアトリーチェのとなりに座ったジーンは、ベアトリーチェにキスをすると慣れた手つきでレーヴを抱き上げた。



「今日も良い子にしていたかー?」

「俺の台詞を取るなといつも言っているだろ」



ジーンの言葉など微塵も気にしていないバルタザールはレーヴの頬をつついて遊んでいる。


ピンクがかった髪の毛に虹色の瞳を持つレーヴは基本人見知りはしないが、バルタザールには特に懐いている。


口にはしていないが、レーヴはアウロラの生まれ変わりじゃないかとベアトリーチェは思っていた。


皆が見守る中、今日もベアトリーチェ、ジーン、レーヴ_3人の時間は穏やかに流れていく。



【私、今すごく幸せだよ】



誰に言うでもなく、ベアトリーチェは心の中でそう呟いた。






FIN.