男性は頭を下げた。



「ベアトリーチェ王女、そしてマクブレイン国王子_ジーン・マクブレイン、ご挨拶が遅くなりました。 私はテネーブルが精霊、バルタザールと申します。 今は急を要する事態ゆえ、皆の紹介はまた改めて」



バルタザールは優美に立ち上がるとアウロラと視線を絡めた。二人が並ぶと眩しさが増す。息を呑むほどの美男美女だ。



「ベアトリーチェ、皆が力を貸してくれる。 そなたの力を全てのものへ届けよう。 ベルギウスの時と同じ様に、ただ願え。 皆の心の平和を強く願えばよい」

「分かった。 私は私のやるべき事をする」



体の中を何かが駆け巡っている気がする。体の中から何かが飛び出してきそうな感じがする。とにかく気持ちが悪い。


アウロラの七色に光る指先が頬に触れた。とても暖かい。



「では主人、ベアトリーチェ王女を宜しくお願いしますね」

「お前に言われずとも分かっている」

「ははっ、そうだね。 では我々も共鳴の準備を整えよう」

「あぁ。 そうだな」



バルタザールは暖かな笑みを浮かべるとアウロラのアタマをぐしゃりと撫でた。その二人の空気がなんだか特別なものに感じられた。バルタザールの瞳の奥にはアウロラを労わる様な色も感じられた。