体が離れると、包み込む様にアウロラの手が頬に触れた。見慣れた妖艶で美しいアウロラの顔だ。



「わらわとした事が取り乱してしまった……すまぬ」

「ううん、気にしないで。 それよりこれは何なの？ 知ってるんでしょ？」



そうじゃなきゃそんな反応しないよね？それにアウロラの反応からしてこれはいいものではない。



「さぁ、服を着て、坊やのところへ行くとしよう」

「ダメ…ダメだよ！ 今凄く忙しそうにしてるのに、これ以上ジーンの負担を増やすわけにはいかない！！」



これ以上ジーンの手を煩わすわけにはいかない。自分でどうにかしないとダメ。



「そなたは坊やに何かあれば話してほしいと求めるのに、そなたに何かあった時は坊やに何も言わぬつもりか？」

「…………」



珍しくアウロラの物言いが意地悪だ。いつもはこんな風に言われる事はない。もう少し柔らかな言い方だ。



「わらわはずっとそなたの側におった。 それなのに、この様な事になってしまった。 二度とこの様な事にはならぬ様にと用心しておったのにだ」



二度と？用心？どういう事？



「わらわが知ってほしいのだ。 そなただけではなく、そなたを愛し守ると誓った坊やにも」



儚げな顔をされて胸が騒ついた。今にもアウロラが消えてしまいそうで、怖くなった。