マクブレイン城に着いてすぐに、私は体調を崩してしまった。高熱にうなされ、暫くベッドから出られなくなってしまった。


癒しの力が欲しいのはトゥーラン国だけではないらしい。『どうしてこの力がそんなに欲しいんだろう』と零した時、側に居たジーンは言った。『戦場で怪我をした兵を治す事が出来たなら、それはある意味で不死の軍団と言えるだろう』と……何て恐ろしい事を考えるんだろうとゾッとした。


っ__胸が苦しくなって体を起こした。ベッド脇に置かれた水を飲み干した。



「大丈夫か?」



心配そうな顔のアウロラに顔を覗き込まれた。



「うん、大丈夫」



少し熱は下がったとはいえ、まだ頭が痛くてボーッとする。汗かいて気持ち悪い。着替えるため、部屋の電気を点けた。


この広い部屋にいるのはまだ慣れない。外が暗いせいか、余計寂しさを感じる。



「な、に? これ……」



夜着を脱いで息を飲んだ。


胸元に黒い線が浮かんでいる。まるで根が張ってるみたいに……。



「アウロラ__ッ!」

「どうし__」



フワリとやってきたアウロラは、私の胸元を見ると凍りついた。


私の胸元に触れるアウロラの指先は震えていた。



「な、ぜ……何故だ……っ」



アウロラは美しい顔を歪ませると、私を抱きしめた。震えてる。泣いてるの?こんなアウロラを見るのは初めてだった。


かける言葉が見つからなくて、アウロラが落ち着くまで抱きしめていた。