咄嗟に周りを見渡すと、無数の目が私を見ていた。


私ってばまんまと罠に嵌ってたの?そうとも知らずに浮かれて、こんな小さな子たちを傷付けた……。



「貴女を確保するのは我がトゥーラン国ですけどね」



ジャン王子が片手を上げると、私を取り囲んでいる騎士団員は揃って剣先を私に向けた。逃げ場がない。



「わらわの主人に牙を向けるのか? 人間風情が……」



アウロラがかばう様に間に入った。突然現れたアウロラに、みんなに動揺が走る。



「それが精霊ですね!? これも手紙に書かれていた通りですよ! あぁ……なんて美しいんだ!」



アウロラの事も知ってる!?一体誰が……何のために……。


アウロラの顔は見えないけど、後ろ姿からは怒りを感じる。アウロラが両手を広げると、私たちを囲む様に丸くキラキラとした物が現れた。これ……。



「アウロラ!! 止めて!! お願いだから!!!!!」



数え切れないほどのキラキラした大きな針の様なものが、騎士団員、そして隠れている人たちへ向けられていた。



「わらわだけの怒りではない。 そなたを愛す風の妖精たちも腹わたが煮え繰り返る思いの様だ。 もうわらわには止められぬ」



そんな__っ!


緊迫した空気の中、アウロラの指先がピクリと動いた。私は咄嗟にリリーちゃんとロロ君の背中を突き飛ばす様に押した。



「逃げなさい! 早く!!」