あそこにいるのは__っ!



「ロロ君!!」

「おい! あんた!!」



おじさんの制止を振り切ってロロ君のところへ走った。



「っ!? ビーチェ、お姉ちゃ__っっ」

「リリー、ちゃ…ん……?」



ロロ君の足元に倒れているリリーちゃんの体を抱き上げた。胸に大きく染まる真っ赤な血。どうしてこんな……っ。リリーちゃんは薄っすら目を開けて静かに笑った。



「ビーチェ…おね、ちゃ……だ……」

「おねぇ、ちゃ、ん……ごめっ、なさ__ぼく、のせい__でっ」

「お、とこのこ…はっ……泣かな、い……」



こんな時でも弱音を吐かないリリーちゃん。ロロ君の為に必死に笑ってる。どんどん顔色が悪くなっていく。このままだと……。



「次はお前か?」



首元に剣先を向けられた。顔を上げ、男を睨み付けた。



「へぇーいい女じゃねーか。 特別に俺の女にしてやってもいいぞ?」



下品な笑い声が周りに響く。心に黒い感情が広がっていく。


っ__胸がチクリとした。



「おねぇちゃん!! おねぇちゃん__!!」



ロロ君の声にハッとした。


ダメ__!目を閉じてはダメ__!!


リリーちゃんの体を抱きしめ、ちからを込めた。私たちを包み込む様に風が舞い、騎士団の男たちを吹き飛ばした。