_ギシ……。


んっ……?何?


ベッドが軋む音で目が覚めた。



「……どうかしたの?」



暗闇の中誰かと話をしているジーンが振り向いた。



「何でもない。 眠っていろ」



そう言ったジーンは私の頭を撫でると、部屋から出て行ってしまった。


こんな時間にお仕事?何か問題があったのかな?大丈夫かな?


気になり出したら眠れなくなってしまって起き上がった。目をこすりながら何気なく窓の外を眺めた。一瞬にして眠気が吹っ飛んだ。



「な、に……何が起こってるの……」



城下街のメインストリートから少し離れた場所が真っ赤に染まっていた。ここからじゃ遠すぎてよく見えないけど、もしかして火事!?


リリーちゃん…ロロ君……!


ショルダーバッグに急いで薬や包帯を詰め込んだ。手元に光ったブローチ。咄嗟に手に取って胸元に付けた。ママが守ってくれる気がした。


部屋を飛び出したはいいけど、どうやって街まで行こう……自分の足で行くには遠すぎる。



「厩へお行き」

「あ! その手があった!」



バルドックに来てからは一人で馬に乗ることがなかったから、その方法があったという事を忘れていた。


あれ?厩について馬に乗って気が付いた。



「レミー!? ついて来ちゃったの!?」



絶対一緒に行くと言わんばかりに肩に乗って髪の毛を掴んでる。覚悟を決めてバルドック城へ行く時もこんな感じだったっけ……。



「急ぐからここに入ってて」



レミーを胸元に入れ、馬を走らせた。