求めよ、さらば与えられん

自分用とみんなへのお土産を買い終えジーンのところに駆け寄ると、バツの悪そうな顔をされた。それだけで今から言われる言葉が安易に想像できる。



「ベアトリーチェ、すまない。 仕事が入ってしまった」



ほら、やっぱりね。


まだ街に出て1時間も経ってないのに……。



「お仕事ならしょうがないよ。 少しでも一緒に出かけられて楽しかった。 ありがと」



何処に居ても国の為に頑張ってるジーンにこれ以上ワガママなんて言えなかった。今私にできることは、笑って物分かりのいいフリをする事だけ。



「私はもう少しお店を見て回って戻るね」

「分かった」



他のお客さんもいるというのに、ジーンは躊躇う事無く私のおでこにキスをした。唇が離れ、頬に触れる手が離れ……恥ずかしさよりも寂しさの方が勝っていた。



「ユーグ、ベアトリーチェの事頼んだぞ」

「承知いたしました」



手を振ってお店から出て行くジーンとバローさんを見送った。扉が閉まると同時に顔、そして手から力が抜けた。


わしゃわしゃと頭を撫でられた。



「茶ぁでも飲むか」

「はい……」



ジーンと一緒に過ごす時間は今日だけじゃない。またお出かけできる。自分にそう言い聞かせ、気持ちを切り替えようと頑張った。