求めよ、さらば与えられん

次の日はジーンに少し時間の余裕ができた。



「楽しそうだな」

「楽しいに決まってるよ! ジーンは楽しくないの?」

「楽しいよ」



ジーンと手を繋いで街中を歩けるとは思ってなかった。ジーンもラフな格好をしてる。普通のデートみたい。後ろを見れば、護衛としてダミアンさんとバローさんがいるんだけどね。よりによってどうしてこの二人にしたんだろ……今もバローさんがガミガミ言ってる。ダミアンさんは笑ってるけど。


私はジーンとの時間を楽しもう。



「あのお店見てもいい!?」



返事を聞く前にジーンの手を引っ張った。昨日気になってたけど入れなかったお店に入った。


お店に入った途端鼻を掠めるにおい。薬室を思い出すのか落ち着く。



「薬草か」

「うん。 珍しい薬草があったら薬室のみんなにお土産として買おうかなって思って」



みんな珍しそうに店内に並べられた薬草を見て回っている。私たちが調合した薬を飲んでるから、原物を見ることって殆どないもんね。


私はお店の方に話を聞きながら店内を見て回った。



「この飴は何ですか?」



薬草に混じって置かれていた飴が気になった。お世辞にも美味しそうとは思えない見た目。



「暑さで倒れる方が少なくないので、そうならない様にするための飴です。 これだけで防げるものではないので、あくまで予防策のうちの一つですけどね」



そんなの初めて見た。飴だったら気軽に口にできるもんね。