求めよ、さらば与えられん

「おっ! これは街で買ってたクッキーか!?」

「はい、お茶にも合うと思いますから、良かったら召し上がって下さい」

「ありがとな!」

「ユーグ! 口を慎め! ベアトリーチェ王女に対してその口の聞き方は何なんだ!?」



眉間に皺を寄せてキッとダミアンさんを睨みつけるバローさん。



「バローさん、私が畏まった話し方が苦手なので、そうしてほしいとダミアンさんにお願いしたんです」

「ベアトリーチェ王女がいいと仰ったからといって、これ程砕けた態度はあんまりです。 私から後でちゃんと言っておきます」



うわー……キッチリカッチリした人。どうしよう…後で喧嘩になったりしないかな!?私はこんなにもあたふたしてるというのに、ジーンもカステルさんも気にしてない。というか、当人であるダミアンさんすら気にしてない。



「いつもの事だ。 気を揉むだけ無駄だ」



ある意味仲良しって事なのかな?



「ここの道だか、今は無くなっておるぞ」



うわ!急にアウロラが耳元で話すものだから驚いた。


アウロラはテーブルの上に広げられた地図を指差していた。指先を見ていたら、ジーンに「どうした?」と声をかけられた。



「ここ、今はないんだって」



アウロラの指差すところを指差して教えた。



「アウロラか?」

「うん。 ここだけじゃなくて、他にも変わってるみたい」

「直接話したい」



アウロラがスーッと姿を表すと、ダミアンさんとバローさんは驚いた顔をした。そういえば二人はアウロラと会ったことないんだよね。でも存在はジーンから聞いていたのか、直ぐに冷静な顔になった。