お風呂上がり、窓から外を眺めていた。日中とは違い、夜は湿度が低くなるのか吹き込む風が気持ちいい。


戻って来てからも昼間の子供達の事が頭から離れない。


_ガチャ。


音がして振り向くと、メイドさんがワゴンを持って出て行こうとしていた。ワゴンにはお茶のセットが用意されている。



「あの、そのお茶……」

「お隣にいらっしゃるジーン王子へお持ちするところです」



ジーンは何やら忙しくしていて、夕食の時ゆっくり話ができなかった。お風呂の後も隣のダミアンさん達の部屋にこもり、何やら仕事をしている様だった。



「私が持って行ってもいいですか?」

「ですが……」

「お願いします」



最初は困った顔をしていたけど、直ぐに笑ってくれた。「お言葉に甘えさせて頂きますね。 宜しくお願いいたします」とワゴンを受け取り、隣のジーンのいる部屋へ向かった。



「お茶をお持ちしました」



テーブルに広げられた資料らしきものを見ていたジーンが勢いよく顔を上げた。驚いた顔ってあんまり見られないから可愛いと思ってしまう。



「まだ寝ていなかったのか?」

「眠れなくて、メイドさんの仕事を無理矢理奪っちゃった。 私はお茶を出したらすぐに出て行くから、気にせずお仕事進めて」



眠る前にジーンの顔が見られたら、嫌な夢を見ない気がした。