ダミアンさんのお陰で、おじさんは男の子の腕を離してくれた。ダミアンさんがおじさんと話してくれている間に、私は女の子に駆け寄った。



「大丈夫!?」



転んだ時に擦りむいたらしい腕を診ようとしたら、手を振り払われた。



「触んないで!!」



いつかのペガサスを思い出した。あの時もこんな風に思いっきり警戒されてたっけ。



「ちょっ__」

「私は薬師よ! 怪我してる人を放っておくなんて出来るわけないでしょ!? それに傷口からばい菌が入って大変な事になったらどうするの!!」



嫌がる女の子の腕を無理矢理掴んだ。すると男の子に洋服をグイグイ引っ張られた。



「お姉ちゃんを__っ、イジメない、で!!」



震えながらも私に立ち向かう男の子の姿はとてもいじらしく、泣きそうになった。



「イジメたりしないよ。 怪我したところを手当てしたいの」

「て、あて……?」

「うん、手当て」



笑って見せると、震わせながらも手を離してくれた。


私は持ち歩いていた飲み水で傷口を洗い、傷薬を塗って包帯を巻いた。途中痛みに顔をしかめながらも、文句を言う事はなかった。


包帯を巻き終えると同時に、女の子は男の子の手を取って私から離れた。


走り去る直前に「……ありがと」と言われた気がした。聞き取りづらかったけど、そう言った様な気がする。