ご飯を食べ終えると、レミーはショルダーバッグのポケットの中にスッポリ収まった。ダミアンさんは満足そうにお腹を叩いてる。初めて会った時よりもクマさんに見える。


街中を歩いていて気になることがある。



「どうかしたか?」

「あ、いや……街中は明るくて活気があってとても賑やかですけど、路地にはその……」

「ホームレスが多いって?」

「あ、はい……」



口ごもっていたら、ダミアンさんに言い当てられた。マクブレインも階級はあるが、街に出た時に貧富の差が気になった事はない。



「ちょっと!! 離してよ!!」



女の子の大きな声が耳に飛び込んできた。エプロンをつけたおじさんに腕を掴まれている女の子と男の子。女の子は、ルネ王子と同じ年頃に見える。男の子はもう少し幼いくらいだろうか。



「お前たち以外誰が盗むってんだ! ベッケル様のところへ突き出してやらー!!」



そう言われた途端、勇ましかった女の子の顔色が変わった。怯えてる?



「違うって言ってんじゃん! 私たちは盗んでなんかないってば!!」



抵抗していた女の子の腕がスルッと抜け、勢いよく地面に転げた。男の子は「お姉ちゃん!!」と何度も泣き叫んでる。それなのに周りは気にする様子もなく、素知らぬ顔で通り過ぎていく。


何……この街。なんだか怖い。


おじさんが男の子だけを連れて行こうとして、咄嗟に体が動いた。



「何だ! あんた!!」



おじさんの腕を掴むと勢いよく怒鳴られた。自然と肩がビクッと動く。



「この子達、盗みなんてしてないって言ってるじゃないですか」



顔を真っ赤にしたおじさんが、またもや怒鳴りそうな勢いで口をあけると、「まぁまぁまぁ」と宥めるようにダミアンさんが間に入ってくれた。