疲れ切った身体にお風呂のお湯が身にしみた。疲れが吹っ飛んだかと思えば、ベッドを見てまたドッと疲れた。



「私共は失礼いたします」

「え!? ちょっと待っ__」



「待って……」と言い切る前にメイドさんたちに笑顔を向けられた。



「まだする事があるのか?」

「え? いや、ない、けど……」

「なら早く来い」



まさかベッドまで同じだとは思ってなかった……!!アウロラも気を使ってなのか姿が見えない。


心臓がばくばくしてる。胸に手を当てて落ち付けようとするけど、余計意識しちゃって逆効果!



「失礼します……」

「何を畏まっている」



ジーンはそう言って笑った。お布団をめくってくれて、大人しくそこに体を潜らせた。


ぎゃ!む、胸板が!ジーンの生な胸板が__!パジャマはだけてますよ!!



「緊張しているのか?」

「だ、だって__!?」



首の下に腕を回されて、気付けばジーンの肩に頭を乗せていた。動こうにもあまりの緊張で体がいうことをきいてくれない。


私ばっかり……悔しい。



「……ジーンはどうせ慣れてるんでしょうけど」



つい可愛くないことを言ってしまう。肩を抱き寄せられ、こめかみにそっとジーンの唇が触れた。


これだけで機嫌を直してしまいそうになる自分も嫌。



「触れたいと思うのはベアトリーチェだけだ。 過去にそう思う女性に出会ったことはない」

「それ…本当?」

「ははっ、俺にそんな事を言ってくるのもお前だけだよ、ベアトリーチェ。 他の者に言われたところで煩わしいと思うだけだろうな」



“私だけ”…そんなさり気ない一言で不安が少しずつ消えていく。私だけだと思ってくれてるなら、もう深く考えるのは止めようと思ってしまう。この人の言葉を信じたい。