「だいたい済んだなら、各自部屋で寛いでくれ。 また食事の前に働いてもらう事になるからな」



みんな「畏まりました」と言って部屋から出ていった。元々賑やかではなかったけど、人が減った分静かになった。



「どうした?」



私の様子に気付いて人払いしてくれたんだ。



「アウロラが……」



なんて説明すればいいのか分からないでいると、アウロラが姿を現した。そばまで来ると、私の手の中に在るブローチに躊躇いながら触れた。



「ずっとそなたが持っておったのか?」

「それがよく分かんないんだけどね、出国する前にメイドさんから手紙が届いてましたって封筒渡されたの。 宛名だけで送り主は書いてなくて、中にカードとこのブローチが入ってたんだよね」



そういえばその時ちょうど薬室長のところにお使いお願いしてて、アウロラはいなかったんだっけ?私も急いでたからポケットの中のことなんてすっかり忘れてた。



「カードには何て書いていた」



険しい顔のジーンに尋ねられ、不安になる。



「“親愛なるベアトリーチェへ
コンソラトゥールをお届けします”
って書かれてた。 コンソラトゥールって何だろ? これブローチだよね?」

「コンソラトゥールとはこの花の名だ。 アヴァが初めて両親から贈られたものだよ。 とても大切にしておったのに、ある日失くしたと言ってな……皆で探したが見つからなかった」



ママのブローチ?家にさえママの物は何一つ残ってないのに、まさかこんな突然巡り会えるなんて思ってなかった。


喜ぶ私とは裏腹に、ジーンとアウロラは複雑な表情を浮かべていた。