「うわぁー! すごぉい!」



目の前の道に咲き誇る百合の花。色んな色がある。



「百合の花ってこんなに沢山の色があるんだね。 白しか見た事なかったから新鮮」

「百合の花はトゥーラン国のシンボルだからな。 王族だけではなく、国民も大切にしている花だ」



トゥーラン国で5年に一度開かれるという大きなお祭りにお呼ばれされたジーンから、一緒にいこうと誘われて同席する事となった。仕事もあるし…と悩んでいたが、他国の薬室などの設備をもし見られるなら見てきてほしいと、薬室長は快く送り出してくれた。



「私のそばから離れないでね?」



レミーは窓から外を眺めながら、耳だけを後ろに向けている。私の声は聞こえてるみたいだけど、なにせ好奇心旺盛だから心配だ。



「各国の王族、貴族が招待されている。 お前に取り入ろうとする者もいるだろう。 あまり心を許すなよ」

「気をつける! それから、ジーンのお仕事の邪魔にならない様に気をつける!」

「そんな事は気にしなくていい。 今回は半分は遊びの様なものだからな」

「何を言うておる。 仕事に専念おし。 ベアトリーチェにはわらわが付いておるゆえに」



バチバチと火花を散らす2人。思わず笑ってしまった。すると「ふふ」と上品な笑い声も混ざってきた。