王女だろうと何だろうと私たちは同じ女性。同じ悩みを抱えていたんだ。そのことにホッとした様な複雑な様な……何とも言えない気持ちになった。



『戦場に行く前に、ジーンからは婚約を解消したいと言われたわ』

『行く前に……?』



行く前にそんな話をしてたの?



『どうしても手に入れたい人がいるのだと言われたの。 それが何となく貴女だということに気が付いてたわ』

『え?』

『女の勘、かしらね。 貴女を見るジーンの目の奥に切なさと温かみを感じたの。 そしてジーンが毒に侵されてる時の貴女とのやりとりを見て、確信に変わったわ』



私はグレース王女の存在に焦ってばかりで、何も気付かなかった。ジーン王子がそんな風に私の事を見てくれてるとも思わなかった。



『ふふっ』

『な、何ですか?』



突然笑われた。眉をひそめると、笑いながら『ごめんなさい』と言われた。



『貴女には敵わないと思ったのよ』

『どういう事ですか?』

『あれ程殺気立っているジーンにあんなに食ってかかるなんて……きっとわたくしには出来ないわ。 愛していると言いながらも、どこかであの人の事を恐れている自分自信がいる…その事に気付かされたわ。 貴女は凄いわね』