ごめんなさいパパ。


ごめんなさいヘンリー。


私、約束を守れそうにありません。


勝手かもしれないけど、この人を喪うのかと思うと胸が潰れてしまいそうなの。息の仕方も忘れてしまいそうなの。


ベッドの端に座り、ジーン王子の胸に手を当てた。すると勢いよく手を振り払われた。



「ダメだ……」



ジーン王子はそう小さく呟いた。


もしかして知ってる?私の力の事を……?


知りながらこんな状況になっても私の力を使おうとしなかったの?


分からない事だらけ。だけど、ジーン王子からの温もりを感じた。この人が愛しくて堪らない。この人の為ならもうどうなったっていい。



「取引しましょう」

「取引だと?」

「私の力がもしも世界の邪魔となったなら、その時は私を殺して…貴方の手で……」



私のせいで世界が乱れるなんてあってはならない。それは私自身、そしてパパやヘンリーもきっと望まない。



「…約束しよう」

「ありが__っ」



ジーン王子に抱き寄せられた。



「世界が敵になろうとも、必ず守る。 そうならない様にお前の支えとなろう」



ジーン王子の背中に手を回して首元に顔を埋めた。